概要
カジュアルファッションの大手、株式会社アダストリアは、2ケタ成長を続けるEC事業に対応するためEC物流センター(茨城県)をリニューアルしました。センターには120台のAGV(自動搬送ロボット)と1400台の商品棚で構成したGTPシステムをはじめ、クイックシャトル(ストレージ装置)やPTIシステム(LED仕分け装置)など最新のマテハンシステムを導入。膨大な商品点数のピッキングをミスなく効率よく進め、生産性を飛躍的に向上させています。
設備の特長
ピッキングの流れ
センターでは衣料品や雑貨品などを取り扱っていますが、ファッションアイテムは1商品のカラー・サイズ展開も多く細かいSKU管理が必要です。この膨大な商品の中から注文品を集めていく作業は複雑なため、センターでは40人分ずつのオーダーを1つにまとめ、トータルピッキング⇒オーダー別仕分けの2段階方式で作業を進めます。
作業の流れは、下のフローチャートのようになっています。トータルピッキングは出荷頻度の高い高回転商品をGTPシステム、低回転商品を台車ピッキングシステムでそれぞれ処理します。ピッキング品はクイックシャトルに合流し、いったんストレージ。出庫指示に応じて切り出され、PTIシステムでオーダー別に仕分けられます。仕分けられた商品は、このあと梱包され、自動仕分け機が方面別に仕分け、宅配業者に引き取られます。
GTPシステム
導入された設備の中で、注目されるのが高回転商品のトータルピッキングを行うGTP(Goods To Person)システムです。AGVが該当品の格納された商品棚を下から持ち上げ、ピッカーが待機するステーションへ運んできます。ピッカーは音声とモニターのガイダンスにしたがって棚から商品を取り出し、集品ケースに投入していくだけです。GTPシステムの導入により、従来のようにピッカーが広い倉庫内を歩いて商品を探す必要がなくなるとともに、作業時間も大幅に短縮されました。
AGV(自動搬送ロボット)
高回転商品のピッキングを効率よく進める
120台のAGVと1400台の商品棚。
ピッキングステーション。
音声とモニターの指示で作業は簡単に進められる。
導入の効果
マテハンシステムを活用した今回のリニューアルにより、1日あたりの出荷可能件数は従来の最大19000件から34000件に増加。作業生産性は約1.6倍向上しました。
お客様の声
将来の成長と事業拡大を見据えてEC物流センターをリニューアルしたわけですが、私たちは物流センターの主役は、あくまで働く人たちだと考えています。したがって目指したのは、歩いたり探したりといった複雑な作業を軽減させながら正確で効率の良いピッキングを実現することです。‟Goods To Person”と呼ばれるGTPを中心としたマテハンシステムを導入したことで期待通りの成果が生まれています。
※本記事内容は2022年8月に取材した内容を元に構成しております。
記事内の数値データや組織情報は取材時のものとなります。